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【事件事故】 三毛別羆事件5-戦慄
1出現 2襲撃 3再襲 4惨劇 5戦慄 6討伐 7最期


戦慄

一方、太田家からは葬儀の参列者と合流した一行が川下へと向かっていた。
ヒグマの気配が濃い。
誰もがそう感じ始めた頃、川下の方角から激しい物音と絶叫が上がった。
急ぐ一行の前に重傷のヤヨがたどり着く。
一行は明景家で何が起こったかを察した。

途中で重傷を負ったオドを保護し、男たちは明景家を取り囲んだ。
中から助けを呼んで泣き叫ぶ女子供の声、絶叫、うめき声、そして肉や骨を咀嚼するおぞましい音が聞こえてきた。
悲痛な様相に、それでも誰一人踏み込むことができない。

「もう誰も助からない。家に火をかけろ」
「小屋に向かって一斉射撃しろ」

などの意見も出たが、子供らの生存に一縷の望みを託すヤヨがそれを必死に止めた。


やがて女子供の声はしなくなり、聞こえてくるのは熊の足音だけになった。


男たちは入り口を鉄砲で取り囲み、一人が空に向けて発砲。
ヒグマは猛然と飛び出して襲いかかってきた。
が、鉄砲は不発。
ヒグマは向きを変え、軒下を歩き始めた。
そのまま発砲すると生存者に当たる可能性があった。
一同が撃ちあぐねている間に、ヒグマは姿を消してしまった。

松明(たいまつ)を手に家に入る。
その目に飛び込んできたのは

天井まで濡れた血の海、
上半身を食われたタケと、無残に食いちぎられたふたりの子供、
そしてタケの腹から引きずり出された血まみれの胎児だった。


地獄の様相に思わず吐く者もいれば、泣き出す者、外へ飛び出す者もいた。

胎児はまだ生きて動いていたが、その後間もなく死亡した。
ムシロの下から巌が見つかるが、肩と胸に噛まれた傷、そして左大腿部から臀部にかけて食われ、骨だけになっていた。
巌は惨死した母・タケのことを知らず、うわ言で母に助けを求めながら間もなく死亡した。

この二日間で7人が死亡、3人が重傷を負った。


死亡者

阿部マユ(34)
 太田家家主の妻。
 ヒグマに殺され、保存食として森に埋められたところを発見される。
 遺体は頭蓋の一部と片膝から下の足しか残らなかった。

蓮見幹雄 (6)
 事件当時、太田家に預けられていた子供。
 喉をかきえぐられ、頭をかじられて死亡。

明景金蔵 (3)
 明景家三男。
 一撃で撲殺されて死亡。

斉藤春義 (3)
 斉藤家四男。
 一撃で撲殺され死亡。

斉藤巌  (6)
 斉藤家三男。
 肩、胸に噛み付かれ、大腿部から臀部を食われて骨だけになる。
 救出されるが20分後に死亡。

斉藤タケ(34)
 前日に助けを呼びに行った斉藤五郎の妻。
 上半身を食われ、腹から胎児を引きずりだされ死亡。

胎児
 斉藤タケの胎児。
 ヒグマに腹から引きずり出される。
 救出されたときはまだ生きていたが、1時間後死亡。


重傷者

明景ヤヨ(34)
 明景安太郎の妻。
 ヒグマに頭をかじられ30針を縫う重傷。

明景梅吉 (1)
 明景家四男。
 母ヤヨに背負われたまま足腰に噛み付かれる。

長松要吉(59)
 通称オド。太田家に寄宿していた。
 太田家で起きた襲撃事件の第一発見者。
 明景家での襲撃事件で腰のあたりを噛まれる。
 絶叫に気がそれたヒグマから逃走して保護される。


翌12月11日

村人に頼まれて太田家の事件を報告しに役所と警察へ向かった斉藤石五郎は、この日昼近くになって三毛別にたどり着いた。

そこで妻と子たちの受難を知らされた彼は呆然と雪の上に倒れ伏し、ただ慟哭するしかなかった。


【事件事故】 三毛別羆事件(その6)「討伐」 へつづく。


1出現 2襲撃 3再襲 4惨劇 5戦慄 6討伐 7最期

by kero-tama | 2010-10-01 20:10
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