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【不思議】悪寒
数年前の話。

夜、ベランダ側に背中を向けて寝ていると、急激に悪寒を感じて目が覚めた。
尾てい骨から背中、うなじ、後頭部を経て脳天までの体毛がすべて逆立ち、鳥肌が波のように押し寄せる。

-オバケだ!-

何故かとっさにそう思い、ギュッと目を閉じる。
目を開けると「ナニカ」が見えそうで恐ろしかった。
そのくらいの存在感があった。

何かが背中にべったりと取り付いているようなおぞましさは数十秒続いた。
悪寒が消えて恐る恐る振り返ると、カーテンの隙間から細い月の光が差し込んでいた。


ベランダの向こう、マンションの裏手には小さな丘があり、丘の反対側は古い墓地だ。
丘のマンション側は小さい頃に重機とトラックが手荒く土を掘り出して行ったきり赤土むき出しで長年放置された。
甕棺(かめかん)だか人骨だかが出たと噂されたが、調査が行われている様子はなかった。

甕棺とは死者を埋葬する際に棺として使われた土器で、弥生時代に九州北部で盛んに使われた。
keroが住んでいた地域はそれなりに歴史が古く、町内には前方後円墳もあった。

なので、マンション裏手の小さな丘が実は古代の墓地だった、と言われても不思議ではなかった。
ただ、古代の墓の上にさらに墓が建っていると思うと、なんだか罰当たりな気持ちになった。


それからしばらくして。

夜、ベランダ側に背を向けて寝ていると、ふたたび悪寒が背中を這い上った。
1度目は怖くて目も開けられなかったのに、2度目は何故か猛烈に腹がたった。

-とっ捕まえて叩き出してやるッ!-

目を開き、布団を跳ね上げ、上半身を勢い良く起こすと怒りもあらわに「いい加減にしろっ!」と叫んだ。

悪寒が一瞬でかき消える。

自分でもどうしてここまで瞬間的に激昂したのかわからなかったが、以後悪寒に襲われることはなくなった。




現在、丘を半分以上切り崩した跡には新しい家が数軒建っている。

そう、墓の裏手のあの土地に。




まさにお墓のミルフィーユやー(彦摩呂風に):★★☆☆☆

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by kero-tama | 2011-10-16 04:04
【怖い話】かんかんだら4-由来
1:発端 2:異形 3:異常 4:由来

俗称は「生離蛇螺」/「生離唾螺」
古くは「姦姦蛇螺」/「姦姦唾螺」
なりじゃら、なりだら、かんかんじゃら、かんかんだらなど、知っている人の年代や家柄によって呼び方はいろいろあるらしい。
現在では一番多い呼び方は単に「だら」、おっさん達みたいな特殊な家柄では「かんかんだら」の呼び方が使われるらしい。

もはや神話や伝説に近い話。

人を食らう大蛇に悩まされていたある村の村人達は、神の子として様々な力を代々受け継いでいたある巫女の家に退治を依頼した。
依頼を受けたその家は、特に力の強かった一人の巫女を大蛇討伐に向かわせる。

村人達が陰から見守る中、巫女は大蛇を退治すべく懸命に立ち向かった。
しかし、わずかな隙をつかれ、大蛇に下半身を食われてしまった。
それでも巫女は村人達を守ろうと様々な術を使い、必死で立ち向かった。

ところが、下半身を失っては勝ち目がないと決め込んだ村人達はあろう事か、巫女を生け贄にする代わりに村の安全を保障してほしいと大蛇に持ちかけた。
強い力を持つ巫女を疎ましく思っていた大蛇はそれを承諾、食べやすいようにと村人達に腕を切り落とさせ、達磨状態の巫女を食らった。
そうして、村人達は一時の平穏を得た。

後になって、巫女の家の者が思案した計画だった事が明かされる。
この時の巫女の家族は六人。

異変はすぐに起きた。
大蛇がある日から姿を見せなくなり、襲うものがいなくなったはずの村で次々と人が死んでいった。
村の中で、山の中で、森の中で。
死んだ者達はみな、右腕・左腕のどちらかが無くなっていた。

十八人が死亡。(巫女の家族六人を含む)
生き残ったのは四人だった。


おっさんと葵が交互に説明した。

伯父「これがいつからどこで伝わってたのかはわからんが、あの箱は一定の周期で場所を移して供養されてきた。その時々によって、管理者は違う。箱に家紋みたいのがあったろ?ありゃ今まで供養の場所を提供してきた家々だ。
うちみたいな家柄のもんでそれを審査する集まりがあってな、そこで決められてる。まれに自ら志願してくるバカもいるがな。

管理者以外にゃかんかんだらに関する話は一切知らされない。付近の住民には、いわくがあるって事と万が一の時の相談先だけが管理者から伝えられる。
伝える際には相談役、つまりわしらみたいな家柄のもんが立ち合うから、それだけでいわくの意味を理解するわけだ。今の相談役はうちじゃねえが、至急って事で昨日うちに連絡がまわってきた。」

どうやら一昨日Bのお母さんが電話していたのは別のとこらしく、話を聞いた先方はBを連れてこの家を尋ね、話し合った結果こっちに任せたらしい。Bのお母さんはオレ達があそこに行っていた間に、すでにそこに電話しててある程度詳細を聞かされていたようだ。


葵「基本的に、山もしくは森に移されます。御覧になられたと思いますが、六本の木と六本の縄は村人達を、六本の棒は巫女の家族を、四隅に置かれた壺は生き残られた四人を表しています。
そして、六本の棒が成している形こそが、巫女を表しているのです。

なぜこのような形式がとられるようになったか。箱自体に関しましても、いつからあのようなものだったか。私の家を含め、今現在では伝わっている以上の詳細を知る者はいないでしょう。」


ただ、最も語られてる説としては、生き残った四人が巫女の家で怨念を鎮めるためのありとあらゆる事柄を調べ、その結果生まれた独自の形式ではないか…という事らしい。柵に関しては鈴だけが形式に従ったもので、綱とかはこの時の管理者によるものだったらしい。

伯父「うちの者でかんかんだらを祓ったのは過去に何人かいるがな、その全員が二、三年以内に死んでんだ。ある日突然な。事を起こした当事者もほとんど助かってない。それだけ難しいんだよ。」

ここまで話を聞いても、オレ達三人は完全に置いてかれてた。きょとんとするしかなかったわ。

だが、事態はまた一変した。

伯父「お母さん、どれだけやばいものかは何となくわかったでしょう。さっきも言いましたが、棒を動かしてさえいなければ何とかなりました。しかし、今回はだめでしょうな。」

B母「お願いします。何とかしてやれないでしょうか。私の責任なんです。どうかお願いします。」

Bのお母さんは引かなかった。一片たりともお母さんのせいだとは思えないのに、自分の責任にしてまで頭を下げ、必死で頼み続けてた。でも泣きながらとかじゃなくて、何か覚悟したような表情だった。

伯父「何とかしてやりたいのはわしらも同じです。しかし、棒を動かしたうえであれを見ちまったんなら……
お前らも見たんだろう。お前らが見たのが大蛇に食われたっつう巫女だ。下半身も見たろ?それであの形の意味がわかっただろ?」

「…えっ?」
オレとAは言葉の意味がわからなかった。下半身?オレ達が見たのは上半身だけのはずだ。

A「あの、下半身っていうのは…?上半身なら見ましたけど…」

それを聞いておっさんと葵が驚いた。
伯父「おいおい何言ってんだ?お前らあの棒を動かしたんだろ?だったら下半身を見てるはずだ。」

葵「あなた方の前に現われた彼女は、下半身がなかったのですか?では、腕は何本でしたか?」

「腕は六本でした。左右三本ずつです。でも、下半身はありませんでした。」オレとAは互いに確認しながらそう答えた。
すると急におっさんがまた身を乗り出し、オレ達に詰め寄ってきた。

伯父「間違いねえのか?ほんとに下半身を見てねえんだな?」
オレ「は、はい…」

おっさんは再びBのお母さんに顔を向け、ニコッとして言った。
伯父「お母さん、何とかなるかもしれん。」
おっさんの言葉にBのお母さんもオレ達も、息を呑んで注目した。
二人は言葉の意味を説明してくれた。

葵「巫女の怨念を浴びてしまう行動は、二つあります。
やってはならないのは、巫女を表すあの形を変えてしまう事。
見てはならないのは、その形が表している巫女の姿です。」

伯父「実際には棒を動かした時点で終わりだ。必然的に巫女の姿を見ちまう事になるからな。
だが、どういうわけかお前らはそれを見てない。動かした本人以外も同じ姿で見えるはずだから、お前らが見てないならあの子も見てないだろう。」

オレ「見てない、っていうのはどういう意味なんですか?オレ達が見たのは…」

葵「巫女本人である事には変わりありません。ですが、かんかんだらではないのです。あなた方の命を奪う意志がなかったのでしょうね。
かんかんだらではなく、巫女として現われた。その夜の事は、彼女にとってはお遊戯だったのでしょう。」

巫女とかんかんだらは同一の存在であり、別々の存在でもある…?という事らしい。

伯父「かんかんだらが出てきてないなら、今あの子を襲ってるのは葵が言うようにお遊び程度のもんだろうな。わしらに任せてもらえれば、長期間にはなるが何とかしてやれるだろう。」

緊迫していた空気が初めて和らいだ気がした。Bが助かるとわかっただけで充分だったし、この時のBのお母さんの表情は本当に凄かった。この何日かでどれだけBを心配していたか、その不安とかが一気にほぐれたような、そういう笑顔だった。

それを見ておっさんと葵も雰囲気が和らぎ、急に普通の人みたいになった。
伯父「あの子は正式にわしらで引き受けますわ。お母さんには後で説明させてもらいます。お前ら二人は、一応葵に祓ってもらってから帰れ。今後は怖いもの知らずもほどほどにしとけよ。」



この後Bに関して少し話したのち、お母さんは残り、オレ達はお祓いしてもらってから帰った。
この家の決まりだそうで、Bには会わせてもらえず、どんな事をしたのかもわからなかった。転校扱いだったのか在籍してたのかは知らんが、これ以来一度も見てない。
まぁ死んだとか言うことはなく、すっかり更正して今はちゃんとどこかで生活してるそうだ。

ちなみにBの親父は一連の騒動に一度たりとも顔を出してこなかった。どういうつもりか知らんが。

オレとAもわりとすぐ落ち着いた。理由はいろいろあったが、一番大きかったのはやっぱりBのお母さんの姿だった。ちょっとした後日談もあって、たぶん一番大変だったはずだ。
母親ってのがどんなもんか、考えさせられた気がした。それにこれ以来うちもAんとこも、親の方から少しづつ接してくれるようになった。そういうのもあって、自然とバカはやらなくなったな。


一応他にわかった事としては、
特定の日に集まってた巫女さんは相談役になった家の人。かんかんだらは、危険だと重々認識されていながらある種の神に似た存在にされてる。
大蛇が山だか森だかの神だったらしい。それで年に一回、神楽を舞ったり祝詞を奏上したりするんだと。

あと、オレ達が森に入ってから音が聞こえてたのは、かんかんだらは柵の中で放し飼いみたいになってるかららしい。でも六角形と箱のあれが封印みたいになってるらしく、棒の形や六角形を崩したりしなければ姿を見せる事はほとんどないそうだ。

供養場所は何らかの法則によって、山や森の中の限定された一部分が指定されるらしく、入念に細かい数字まで出して範囲を決めるらしい。基本的にその区域からは出られないらしいが、柵などで囲んでる場合はオレ達が見たみたいに外側に張りついてくる事もある。

わかったのはこれぐらい。

オレ達の住んでるとこからはもう移されたっぽい。二度と行きたくないから確かめてないけど、一年近く経ってから柵の撤去が始まったから、たぶん今は別の場所にいるんだろな。







おわり。




ネットのあちこちに貼られている話ですが出典不明。

日本には古来から災害や凶事を起こす存在を手厚く祭りあげ、鎮めることによって恩恵や平安を授かろうとする「たたり神」という信仰があります。
そしてそれらの多くは土地と深く結びついているものです。

以前紹介した「コトリバコ」も、村人が防衛手段として自分たちの手で呪物を作り上げ、その代償として何代にも渡って土地に縛られるというものでした。
「かんかんだら」も恐怖とうしろめたさから生まれた同じ経緯の呪物と言えるのでしょうね。

「かんかんだら」の真偽はともかく、幸福を与える神様も元をたどれば災害や凶事を与える存在だった、というのは日本ではよくあることです。

こういう話を聞いたことがあります。

人生において「辛い」のは当たり前のことで、「幸せ」は「辛いこと」がない状態、つまり平穏無事であることが「幸せ」であり、ことさら喜ばしいことが「幸せ」というわけではない。

「たたり神」は、災害、いくさ、飢饉、圧政と辛いことが多かった時代、贅沢な望みではなく「せめて平穏無事であってほしい」という切なる願いが生んだ信仰だったのかもしれません。




さわらぬかみにたたりなし:★★★★☆

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by kero-tama | 2011-09-16 05:45
【怖い話】かんかんだら3-異常
1:発端 2:異形 3:異常 4:由来

そのままオレ達は車に乗せられ、すでに三時をまわっていたにも関わらず、行事の時とかに使われる集会所に連れてかれた。
中に入ると、うちは母親と姉貴が、Aは親父、Bはお母さんが来ていた。Bのお母さんはともかく、ろくに会話した事すらなかったうちの母親まで泣いてて、Aもこの時の親父の表情は普段見た事ないようなもんだったらしい。

B母「みんな無事だったんだね…!よかった…!」
Bのお母さんとは違い、オレは母親に殴られAも親父に殴られた。だが、今まで聞いた事ない暖かい言葉をかけられた。

しばらくそれぞれが家族と接したところで、Bのお母さんが話した。

B母「ごめんなさい。今回の事はうちの主人、ひいては私の責任です。本当に申し訳ありませんでした…!本当に…」と何度も頭を下げた。
よその家とはいえ、子供の前で親がそんな姿をさらしているのは、やっぱり嫌な気分だった。

A父「もういいだろう奥さん。こうしてみんな無事だったんだから。」

オレ母「そうよ。あなたのせいじゃない。」

この後ほとんど親同士で話が進められ、オレ達はぽかんとしてた。
時間が遅かったのもあって、無事を確認しあって終わり…って感じだった。この時は何の説明もないまま解散したわ。


一夜明けた次の日の昼頃、オレは姉貴に叩き起こされた。目を覚ますと、昨夜の続きかというぐらい姉貴の表情が強ばっていた。

オレ「なんだよ?」
姉貴「Bのお母さんから電話。やばい事になってるよ。」

受話器を受け取り電話に出ると、凄い剣幕で叫んできた。

B母「Bが…Bがおかしいのよ!昨夜あそこで何したの!?柵の先へ行っただけじゃなかったの!?」

とても会話になるような雰囲気じゃなく、いったん電話を切ってオレはBの家へ向かった。同じ電話を受けたらしくAも来ていて、二人でBのお母さんに話を聞いた。

話によると、Bは昨夜家に帰ってから急に両手両足が痛いと叫びだした。痛くて動かせないという事なのか、両手両足をぴんと伸ばした状態で倒れ、その体勢で痛い痛いとのたうちまわったらしい。
お母さんが何とか対応しようとするも、いてぇよぉと叫ぶばかりで意味がわからない。必死で部屋までは運べたが、ずっとそれが続いてるのでオレ達はどうなのかと思い電話してきたという事だった。

話を聞いてすぐBの部屋へ向かうと、階段からでも叫んでいるのが聞こえた。いてぇいてぇよぉ!と繰り返している。
部屋に入ると、やはり手足はぴんと伸びたまま、のたうちまわっていた。

オレ「おい!どうした!」
A「しっかりしろ!どうしたんだよ!」
オレ達が呼び掛けてもいてぇよぉと叫ぶだけで目線すら合わせない。

どうなってんだ…オレとAは何が何だかさっぱりわからなかった。一度お母さんのとこに戻ると、さっきとはうってかわって静かな口調で聞かれた。

B母「あそこで何をしたのか話してちょうだい。それで全部わかるの。昨夜あそこで何をしたの?」

何を聞きたがっているのかはもちろんわかってたが、答えるためにあれをまた思い出さなきゃいけないのが苦痛となり、うまく伝えられなかった。
というか、あれを見たっていうのが大部分を占めてしまってたせいで、何が原因かってのがすっかり置いてきぼりになってしまっていた。
何を見たかでなく何をしたかと尋ねるBのお母さんは、それを指摘しているようだった。

Bのお母さんに言われ、オレ達は何とか昨夜の事を思い出し、原因を探った。
何を見たか?なら、オレ達も今のBと同じ目にあってるはず。だが何をしたか?でも、あれに対してほとんど同じ行動だったはずだ。
箱だってオレ達も触ったし、ペットボトルみたいなのも一応オレ達も触わってる。後は…楊枝…

二人とも気付いた。楊枝だ。あれにはBしか触ってないし、形もずらしちゃってる。しかも元に戻してない。オレ達はそれをBのお母さんに伝えた。
すると、みるみる表情が変わり震えだした。そしてすぐさま棚の引き出しから何かの紙を取出し、それを見ながらどこかに電話をかけた。オレとAは様子を見守るしかなかった。

しばらくどこかと電話で話した後、戻ってきたBのお母さんは震える声でオレ達に言った。

B母「あちらに伺う形ならすぐにお会いしてくださるそうだから、今すぐ帰って用意しておいてちょうだい。あなた達のご両親には私から話しておくわ。何も言わなくても準備してくれると思うから。明後日またうちに来てちょうだい。」

意味不明だった。誰に会いにどこへ行くって?説明を求めてもはぐらかされ、すぐに帰らされた。一応二人とも真っすぐ家に帰ってみると、何を聞かれるでもなく「必ず行ってきなさい」とだけ言われた。


意味がまったくわからんまま、二日後にオレとAはBのお母さんと三人で、ある場所へ向かった。Bは前日にすでに連れていかれたらしい。
ちょっと遠いのかな…ぐらいだと思ってたが、町どころか県さえ違う。
新幹線で数時間かけて、さらに駅から車で数時間。絵に書いたような深い山奥の村まで連れてかれた。

その村のまたさらに外れの方、ある屋敷にオレ達は案内された。
でかくて古いお屋敷で、離れや蔵なんかもあるすごい立派なもんだった。Bのお母さんが呼び鈴を鳴らすと、おっさんと女の子がオレ達を出迎えた。

おっさんの方はその筋みたいなガラ悪い感じで、スーツ姿。
女の子はオレ達より少し年上ぐらいで、白装束に赤い袴、いわゆる巫女さんの姿だった。

挨拶では、どうやら巫女さんの伯父らしいおっさんは普通によくある名字を名乗ったんだが、巫女さんは「あおいかんじょ」?(オレはこう聞こえた)とかいうよくわからない名を名乗ってた。
名乗ると言っても、一般的な認識とは全く違うものらしい。よくわからんが、ようするに彼女の家の素性は一切知る事が出来ないって事みたい。

実際オレ達はその家や彼女達について何も知らないけど、とりあえずここでは見やすいように葵って書くわ。

だだっ広い座敷に案内され、わけもわからんまま、ものものしい雰囲気で話が始まった。

伯父「息子さんは今安静にさせてますわ。この子らが一緒にいた子ですか?」

B母「はい。この三人であの場所へ行ったようなんです。」

伯父「そうですか。君ら、わしらに話してもらえるか?どこに行った、何をした、何を見た、出来るだけ詳しくな。」

突然話を振られて戸惑ったが、オレとAは何とか詳しくその夜の出来事をおっさん達に話した。
ところが、楊枝のくだりで
「コラ、今何つった?」といきなりドスの効いた声で言われ、オレ達はますます状況が飲み込めず混乱してしまった。

A「は、はい?」

伯父「おめぇら、まさかあれを動かしたんじゃねえだろうな!?」
身を乗り出し今にも掴み掛かってきそうな勢いで怒鳴られた。
すると葵がそれを制止し、蚊の泣くようなか細い声で話しだした。

葵「箱の中央…小さな棒のようなものが、ある形を表すように置かれていたはずです。それに触れましたか?触れた事によって、少しでも形を変えてしまいましたか?」

オレ「はぁあの、動かしてしまいました。形もずれちゃってたと思います。」

葵「形を変えてしまったのはどなたか、覚えてらっしゃいますか?触ったかどうかではありません。形を変えたかどうかです。」

オレとAは顔を見合わせ、Bだと告げた。

すると、おっさんは身を引いてため息をつき、Bのお母さんに言った。
伯父「お母さん、残念ですがね、息子さんはもうどうにもならんでしょう。わしは詳しく聞いてなかったが、あの症状なら他の原因も考えられる。まさかあれを動かしてたとは思わなかったんでね。」

「そんな…」
それ以上の言葉もあったんだろうが、Bのお母さんは言葉を飲み込んだような感じで、しばらく俯いてた。
口には出せなかったが、オレ達も同じ気持ちだった。Bはもうどうにもならんってどういう意味だ?一体何の話をしてんだ?
そう問いたくても、声に出来なかった。

オレ達三人の様子を見て、おっさんはため息混じりに話しだした。
ここでようやく、オレ達が見たものに関する話がされた。







つづく
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by kero-tama | 2011-09-15 01:36
【怖い話】かんかんだら2-異形
1:発端 2:異形 3:異常 4:由来

三人とも見るのは初めてだったんだが、想像以上のものだった。同時にそれまでなかったある考えが頭に過ってしまった。
普段は霊などバカにしてるオレ達から見ても、その先にあるのが現実的なものでない事を示唆しているとしか思えない。それも半端じゃなくやばいものが。
まさか、そういう意味でいわくつきの場所なのか…?森へ入ってから初めて、今オレ達はやばい場所にいるんじゃないかと思い始めた。

A「おい、これぶち破って奥行けってのか?誰が見ても普通じゃねえだろこれ!」

B「うるせえな、こんなんでビビってんじゃねえよ!」

柵の異常な様子に怯んでいたオレとAを怒鳴り、Bは持ってきた道具あれこれで柵をぶち壊し始めた。破壊音よりも、鳴り響く無数の鈴の音が凄かった。

しかしここまでとは想像してなかったため、持参した道具じゃ貧弱すぎた。
というか、不自然なほどに頑丈だったんだ。特殊な素材でも使ってんのかってぐらい、びくともしなかった。
結局よじのぼるしかなかったんだが、綱のおかげで上るのはわりと簡単だった。

だが柵を越えた途端、激しい違和感を覚えた。閉塞感と言うのかな、檻に閉じ込められたような息苦しさを感じた。AとBも同じだったみたいで踏み出すのを躊躇したんだが、柵を越えてしまったからにはもう行くしかなかった。

先へ進むべく歩きだしてすぐ、三人とも気付いた。ずっと付きまとってた音が、柵を越えてからバッタリ聞こえなくなった事に。
正直そんなんもうどうでもいいとさえ思えるほど嫌な空気だったが、Aが放った言葉でさらに嫌な空気が増した。

A「もしかしてさぁ、そいつ…ずっとここにいたんじゃねえか?この柵、こっから見える分だけでも出入口みたいなのはないしさ、それで近付けなかったんじゃ…」

B「んなわけねえだろ。オレ達が音の動きに気付いた場所ですらこっからじゃもう見えねえんだぞ?それなのに入った時点からオレ達の様子がわかるわけねえだろ。」

普通に考えればBの言葉が正しかった。禁止区域と森の入り口はかなり離れてる。時間にして四十分ほどと書いたが、オレ達だってちんたら歩いてたわけじゃないし、距離にしたらそれなりの数字にはなる。
だが、現実のものじゃないかも…という考えが過ってしまった事で、Aの言葉を頭では否定できなかった。柵を見てから絶対やばいと感じ始めていたオレとAを尻目に、Bだけが俄然強気だった。
B「霊だか何だか知らねえけどよ、お前の言うとおりだとしたら、そいつはこの柵から出られねえって事だろ?そんなやつ大したことねえよ。」

そう言って奧へ進んでいった。

柵を越えてから二、三十分歩き、うっすらと反対側の柵が見え始めたところで、不思議なものを見つけた。


特定の六本の木に注連縄が張られ、その六本の木を六本の縄で括り、六角形の空間がつくられていた。柵にかかってるのとは別の、正式なものっぽい紙垂もかけられてた。
そして、その中央に賽銭箱みたいなのがポツンと置いてあった。

目にした瞬間は、三人とも言葉が出なかった。特にオレとAは、マジでやばい事になってきたと焦ってさえいた。
バカなオレ達でも、注連縄が通常どんな場で何のために用いられてるものか、何となくは知ってる。そういう意味でも、ここを立入禁止にしているのは間違いなく目の前のこの光景のためだ。オレ達はとうとう、来るとこまで来てしまったわけだ。

オレ「お前の親父が言ってたの、たぶんこれの事だろ。」

A「暴れるとか無理。明らかにやばいだろ。」

だが、Bは強気な姿勢を崩さなかった。

B「別に悪いもんとは限らねえだろ。とりあえずあの箱見て見ようぜ!宝でも入ってっかもな。」

Bは縄をくぐって六角形の中に入り、箱に近づいてった。オレとAは箱よりもBが何をしでかすかが不安だったが、とりあえずBに続いた。

野晒しで雨とかにやられたせいか、箱はサビだらけだった。上部は蓋になってて、網目で中が見える。だが、蓋の下にまた板が敷かれていて結局見れない。

さらに箱にはチョークか何かで凄いのが書いてあった。
たぶん家紋?的な意味合いのものだと思うんだが、前後左右それぞれの面にいくつも紋所みたいなのが書き込まれてて、しかも全部違うやつ。ダブってるのは一個もなかった。

オレとAは極力触らないようにし、構わず触るBにも乱暴にはしないよう注意させながら箱を調べてみた。
どうやら地面に底を直接固定してあるらしく、大して重さは感じないのに持ち上がらなかった。中身をどうやって見るのかと隅々までチェックすると、後ろの面だけ外れるようになってるのに気付いた。
B「おっ、ここだけ外れるぞ!中見れるぜ!」

Bが箱の一面を取り外し、オレとAもBの後ろから中を覗き込んだ。

箱の中には四隅にペットボトルのような形の壺?が置かれてて、その中には何か液体が入ってた。
箱の中央に、先端が赤く塗られた五センチぐらいの楊枝みたいなのが、変な形で置かれてた。

/\/\>

こんな形で六本。接する四ヶ所だけ赤く塗られてる。

オレ「なんだこれ?爪楊枝か?」

A「おい、ペットボトルみてえなの中に何か入ってるぜ。気持ちわりいな。」

B「ここまで来てペットボトルと爪楊枝かよ。意味わかんねえ。」
オレとAはぺットボトルみたいな壺を少し触ってみたぐらいだったが、Bは手に取って匂いを嗅いだりした。
元に戻すと今度は/\/\>を触ろうと手を伸ばす。
ところが、汗をかいていたのか指先に一瞬くっつき、そのせいで離すときに形がずれてしまった。


その一瞬
チリンチリリン!!チリンチリン!!
オレ達が来た方とは反対、六角形地点のさらに奧にうっすらと見えている柵の方から、物凄い勢いで鈴の音が鳴った。さすがに三人ともうわっと声を上げてビビり、一斉に顔を見合わせた。

B「誰だちくしょう!ふざけんなよ!」
Bはその方向へ走りだした。

オレ「バカ、そっち行くな!」
A「おいB!やばいって!」

慌てて後を追おうと身構えると、Bは突然立ち止まり、前方に懐中電灯を向けたまま動かなくなった。
「何だよ、フリかよ~」とオレとAがホッとして急いで近付いてくと、Bの体が小刻みに震えだした。
「お、おい、どうした…?」言いながら無意識に照らされた先を見た。


Bの懐中電灯は、立ち並ぶ木々の中の一本、その根元のあたりを照らしていた。
その陰から、女の顔がこちらを覗いていた。
ひょこっと顔半分だけ出して、眩しがる様子もなくオレ達を眺めていた。
上下の歯をむき出しにするようにい~っと口を開け、目は据わっていた。

「うわぁぁぁぁぁ!!」
誰のものかわからない悲鳴と同時に、オレ達は一斉に振り返り走った。頭は真っ白で、体が勝手に最善の行動をとったような感じだった。互いを見合わす余裕もなく、それぞれが必死で柵へ向かった。

柵が見えると一気に飛び掛かり、急いでよじのぼる。上まで来たらまた一気に飛び降り、すぐに入り口へ戻ろうとした。
だが、混乱しているのかAが上手く柵を上れずなかなかこっちに来ない。

オレ「A!早く!!」
B「おい!早くしろ!!」

Aを待ちながらオレとBはどうすりゃいいかわからなかった。

オレ「何だよあれ!?何なんだよ!?」
B「知らねえよ黙れ!!」
完全にパニック状態だった。


その時
チリリン!!チリンチリン!!
凄まじい大音量で鈴の音が鳴り響き、柵が揺れだした。
何だ…!?どこからだ…!?オレとBはパニック状態になりながらも周囲を確認した。
入り口とは逆、山へ向かう方角から鳴り響き、近づいているのか音と柵の揺れがどんどん激しくなってくる。

オレ「やばいやばい!」
B「まだかよ!早くしろ!!」

オレ達の言葉が余計にAを混乱させていたのはわかってたが、急かさないわけにはいかなかった。
Aは無我夢中に必死で柵をよじのぼった。


Aがようやく上りきろうかというその時、オレとBの視線はそこになかった。がたがたと震え、体中から汗が噴き出し、声を出せなくなった。
それに気付いたAも、柵の上からオレ達が見ている方向を見た。


山への方角にずらっと続く柵を伝った先、しかもこっち側にあいつが張りついていた。
顔だけかと思ったそれは、裸で上半身のみ、右腕左腕が三本ずつあった。
それらで器用に綱と有刺鉄線を掴んでい~っと口を開けたまま、巣を渡る蜘蛛のようにこちらへ向かってきていた。

とてつもない恐怖

「うわぁぁぁぁ!!」
Aがとっさに上から飛び降り、オレとBに倒れこんできた。それではっとしたオレ達はすぐにAを起こし、一気に入り口へ走った。
後ろは見れない。前だけを見据え、ひたすら必死で走った。
全力で走れば三十分もかからないだろうに、何時間も走ったような気分だった。


入り口が見えてくると、何やら人影も見えた。おい、まさか…三人とも急停止し、息を呑んで人影を確認した。
誰だかわからないが何人かが集まってる。あいつじゃない。そう確認できた途端に再び走りだし、その人達の中に飛び込んだ。

「おい!出てきたぞ!」
「まさか…本当にあの柵の先に行ってたのか!?」
「おーい!急いで奥さんに知らせろ!」

集まっていた人達はざわざわとした様子で、オレ達に駆け寄ってきた。何て話しかけられたか、すぐにはわからないぐらい、三人とも頭が真っ白で放心状態だった。







つづく
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by kero-tama | 2011-09-14 08:38
【怖い話】かんかんだら1-発端
1:発端 2:異形 3:異常 4:由来

小中学の頃は田舎もんで世間知らずで、特に仲の良かったA、Bと三人で毎日バカやって荒れた生活してたんだわ。


オレとAは家族にもまるっきり見放されてたんだが、Bはお母さんだけは必ず構ってくれてた。あくまで厳しい態度でだけど、何だかんだ言ってBのためにいろいろと動いてくれてた。

そのB母子が中三のある時、かなりキツい喧嘩になった。内容は言わなかったが、精神的にお母さんを痛め付けたらしい。

お母さんをズタボロに傷つけてたら、親父が帰ってきた。一目で状況を察した親父はBを無視して黙ったまんまお母さんに近づいていった。
服とか髪とかボロボロなうえに、死んだ魚みたいな目で床を茫然と見つめてるお母さんを見て、親父はBに話した。

B父「お前、ここまで人を踏み躙れるような人間になっちまったんだな。母さんがどれだけお前を想ってるか、なんでわからないんだ。」
親父はBを見ず、お母さんを抱き締めながら話してたそうだ。
B「うるせえよ。てめえは殺してやろうか?あ?」
Bは全く話を聞く気がなかった。

だが親父は何ら反応する様子もなく、淡々と話を続けたらしい。
B父「お前、自分には怖いものなんか何もないと、そう思ってるのか。」

B「ねえな。あるなら見せてもらいてえもんだぜ。」
親父は少し黙った後、話した。

B父「お前はオレの息子だ。母さんがお前をどれだけ心配してるかもよくわかってる。だがな、お前が母さんに対してこうやって踏み躙る事しか出来ないなら、オレにも考えがある。これは父としてでなく、一人の人間、他人として話す。先にはっきり言っておくがオレがこれを話すのは、お前が死んでも構わんと覚悟した証拠だ。それでいいなら聞け。」

その言葉に何か凄まじい気迫みたいなものを感じたらしいが、いいから話してみろ!と煽った。

B父「森の中で立入禁止になってる場所知ってるよな。あそこに入って奥へ進んでみろ。後は行けばわかる。そこで今みたいに暴れてみろよ。出来るもんならな。」

親父が言う森ってのは、オレ達が住んでるとこに小規模の山があって、そのふもとにある場所。樹海みたいなもんかな。山自体は普通に入れるし、森全体も普通なんだが、中に入ってくと途中で立入禁止になってる区域がある。
言ってみれば四角の中に小さい円を書いてその円の中は入るな、ってのと同じできわめて部分的。

二メートル近い高さの柵で囲まれ、柵には太い綱と有刺鉄線、柵全体にはが連なった白い紙がからまってて(独自の紙垂みたいな)、大小いろんな鈴が無数についてる。変に部分的なせいで柵自体の並びも歪だし、とにかく尋常じゃないの一言に尽きる。

あと、特定の日に巫女さんが入り口に数人集まってるのを見かけるんだが、その日は付近一帯が立入禁止になるため何してんのかは謎だった。
いろんな噂が飛び交ってたが、カルト教団の洗脳施設がある…ってのが一番広まってた噂。そもそもその地点まで行くのが面倒だから、その奥まで行ったって話はほとんどなかったな。

親父はBの返事を待たずにお母さんを連れて2階に上がってった。Bはそのまま家を出て、待ち合わせてたオレとAと合流。そこでオレ達も話を聞いた。

A「父親がそこまで言うなんて相当だな。」

オレ「噂じゃカルト教団のアジトだっけ。捕まって洗脳されちまえって事かね。怖いっちゃ怖いが…どうすんだ?行くのか?」

B「行くに決まってんだろ。どうせ親父のハッタリだ。」

面白半分でオレとAもついていき、三人でそこへ向かう事になった。あれこれ道具を用意して、時間は夜中の一時過ぎぐらいだったかな。


意気揚揚と現場に到着し、持ってきた懐中電灯で前を照らしながら森へ入っていった。軽装でも進んで行けるような道だし、オレ達はいつも地下足袋だったんで歩きやすかったが、問題の地点へは四十分近くは歩かないといけない。

ところが、入って五分もしないうちにおかしな事になった。
オレ達が入って歩きだしたのとほぼ同じタイミングで、何か音が遠くから聞こえ始めた。夜の静けさがやたらとその音を強調させる。最初に気付いたのはBだった。

B「おい、何か聞こえねぇか?」

Bの言葉で耳をすませてみると、確かに聞こえた。落ち葉を引きずるカサカサ…という音と、枝がパキッ…パキッ…と折れる音。それが遠くの方から微かに聞こえてきている。

遠くから微かに…というせいもあって、さほど恐怖は感じなかった。人って考える前に動物ぐらいいるだろ、そんな思いもあり構わず進んでいった。
動物だと考えてから気にしなくなったが、そのまま二十分ぐらい進んできたところでまたBが何か気付き、オレとAの足を止めた。

B「A、お前だけちょっと歩いてみてくれ。」

A「?…何でだよ。」

B「いいから早く」

Aが不思議そうに一人で前へ歩いていき、またこっちへ戻ってくる。それを見て、Bは考え込むような表情になった。

A「おい、何なんだよ?」
オレ「説明しろ!」

オレ達がそう言うと
Bは「静かにしてよ~く聞いててみ」と、Aにさせたように一人で前へ歩いていき、またこっちに戻ってきた。二、三度繰り返してようやくオレ達も気付いた。

遠くから微かに聞こえてきている音は、オレ達の動きに合わせていた。オレ達が歩きだせばその音も歩きだし、オレ達が立ち止まると音も止まる。まるでこっちの様子がわかっているようだった。

何かひんやりした空気を感じずにはいられなかった。
周囲にオレ達が持つ以外の光はない。月は出てるが、木々に遮られほとんど意味はなかった。
懐中電灯つけてんだから、こっちの位置がわかるのは不思議じゃない…だが一緒に歩いてるオレ達でさえ、互いの姿を確認するのに目を凝らさなきゃいけない暗さだ。

そんな暗闇で光もなしに何してる?
なぜオレ達と同じように動いてんだ?

B「ふざけんなよ。誰かオレ達を尾けてやがんのか?」

A「近づかれてる気配はないよな。向こうはさっきからずっと同じぐらいの位置だし。」

Aが言うように森に入ってからここまでの二十分ほど、オレ達とその音との距離は一向に変わってなかった。近づいてくるわけでも遠ざかるわけでもない。終始、同じ距離を保ったままだった。

オレ「監視されてんのかな?」

A「そんな感じだよな…カルト教団とかなら何か変な装置とか持ってそうだしよ。」

音から察すると、複数ではなく一人がずっとオレ達にくっついてるような感じだった。しばらく足を止めて考え、下手に正体を探ろうとするのは危険と判断し、一応あたりを警戒しつつそのまま先へ進む事にした。


それからずっと音に付きまとわれながら進んでたが、やっと柵が見えてくると、音なんかどうでもよくなった。
音以上にその柵の様子の方が意味不明だったからだ。






つづく
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by kero-tama | 2011-09-13 23:59
【歴史伝承】ロンドン橋(後編)
前回のつづき。


ロンドン橋落ちた

London Bridge is broken down, Broken down, bloken down,
London Bridge is bloken down, My fair lady.
ロンドン橋が落ちた、落ちた、落ちた、
ロンドン橋が落ちた、マイ・フェア・レディ。


マザー・グース(英国の伝承童謡の総称)の中でも代表的な童謡です。
様々な国で歌い継がれ、アメリカでは「broken down」ではなく「falling down」となっているのが一般的なため、日本では後者の方が馴染み深いかもしれません。

ちなみにkeroは跳ね橋のタワー・ブリッジをロンドン橋と勘違いして「橋が落ちた」を「跳ね橋が落ちた(降りた)」と思っていました。
「broken down」なら「崩れ落ちた」ですよね。

2000年の歴史で何度も崩落したロンドン橋を歌ったこの童謡は、1744年に発行された「Tommy Thumb's Pretty Song Book」にある歌の中に歌詞の全文が含まれていたそうです。
その後「ロンドン橋落ちた」は様々に歌詞を変え、歌い継がれました。
歌詞は国や訳者によって変化しましたが、スタンダードなものを紹介します。
日本語は歌に合わせてkeroが勝手に訳したものです。

London Bridge is broken down, Broken down, bloken down,
London Bridge is bloken down, My fair lady.
ロンドン橋が落ちた、落ちた、落ちた、
ロンドン橋が落ちた、マイ・フェア・レディ。

Build it up with wood and clay, Wood and clay, wood and clay,
Build it up with wood and clay, My fair lady.
木と粘土で作ろう、木と粘土、木と粘土、
木と粘土で作ろう、マイ・フェア・レディ。

Wood and clay will wash away, Wash away, wash away,
Wood and clay will wash away, My fair lady.
木と粘土じゃ流される、流される、流される、
木と粘土じゃ流される、マイ・フェア・レディ。

Build it up with bricks and mortar, Bricks and mortar, bricks and mortar,
Build it up with bricks and mortar, My fair lady.
レンガと漆喰(しっくい)で作ろう、レンガと漆喰、レンガと漆喰、
レンガと漆喰で作ろう、マイ・フェア・レディ。

Bricks and mortar will not stay, Will not stay, will not stay,
Bricks and mortar will not stay, My fair lady.
レンガと漆喰じゃ支えれない、支えれない、支えれない、
レンガと漆喰じゃ支えれない、マイ・フェア・レディ。

Build it up with iron and steel, Iron and steel, iron and steel,
Build it up with iron and steel, My fair lady.
鋼と鉄で作ろう、鋼と鉄、鋼と鉄、
鋼と鉄で作ろう、マイ・フェア・レディ。

Iron and steel will bend and bow, Bend and bow, bend and bow,
Iron and steel will bend and bow, My fair lady.
鋼と鉄じゃ曲がる、曲がる、曲がる、
鋼と鉄じゃ曲がる、マイ・フェア・レディ。

Build it up with silver and gold, Silver and gold, silver and gold,
Build it up with silver and gold, My fair lady.
金と銀で作ろう、金と銀、金と銀、
金と銀で作ろう、マイ・フェア・レディ。

Silver and gold will be stolen away, Stolen away, stolen away,
Silver and gold will be stolen away, My fair lady.
金と銀じゃ盗まれる、盗まれる、盗まれる、
金と銀じゃ盗まれる、マイ・フェア・レディ。

Set a man to watch all night, Watch all night, watch all night,
Set a man to watch all night, My fair lady.
不寝番(ねずのばん)を立てよう、不寝番、不寝番、
不寝番を立てよう、マイ・フェア・レディ。

Suppose the man should fall asleep, Fall asleep, fall asleep,
Suppose the man should fall asleep? My fair lady.
もしも見張りが眠ったら、眠ったら、眠ったら、
もしも見張りが眠ったら?マイ・フェア・レディ。

Give him a pipe to smoke all night, Smoke all night, smoke all night,
Give him a pipe to smoke all night, My fair lady.
夜通しパイプをふかせよう、ふかせよう、ふかせよう、
夜通しパイプをふかせよう、マイ・フェア・レディ。

できるだけ歌になるように訳してみましたが日本語じゃ結構無理ありますね;

ちなみに、マイ・フェア・レディは「麗しの君」「綺麗なお嬢さん」などの意味ですが、「うわっつらだけの女」という隠語もあるそうです。




人柱の伝説

無邪気に歌われている「不寝番」ですが、ロンドン橋には「人柱が埋められた」という伝説があり、歌はこれを指しているとも言われます。
頑丈な石の橋になる以前、ロンドン橋は何度も崩壊して流されたため、自然の力に対抗するために「不寝番」として橋に人柱を埋めることが提案されました。

一説では、魂が眠らないように片手にろうそく、もう片手にパンを持たせた人柱を大きな樽に入れ、橋に埋めたと言われています。
その際、最初は罪人を使っていたのですが、それでも橋が流されるのは神が気に召さないからと、ついには一般市民が人柱にされたということです。
また他の説では、処女の遺体を人柱として橋の基礎部に使ったともされています。

ただロンドン橋が石橋になった際に人柱の記述はなかったため、人柱が実際にあったとしても石橋になる前の時代ではないか、ということです。

ちなみに、ロンドン橋が石橋になったのは13世紀初頭で、ロンドン橋の関所に見張り番が立てられたのは同じ13世紀から、タバコが英国に入ったのはそれより後の16世紀なので、石橋以前のロンドン橋で見張り番がタバコを吸っているのは時系列的には矛盾するということです。




「レディ」は誰?

「ロンドン橋落ちた」のもととなった古い歌詞には「マイ・フェア・レディ」の代わりに「レディ・リー」という名前が出てきます。
「レディ」とはいったい誰を指すのか。

  • エリザベス1世
    イングランドとアイルランドの女王。
    エリザベスの愛称「エリー」→「リー」に変えて歌っているとのこと。
    カトリックとプロテスタントが宗教革命で対立したとき、橋にはカトリック信者の首がいくつも晒されたということです。

  • レイ夫人
    ウォリックシャーの貴族・レイ家の夫人。
    家を建てる際、頑丈にするため人柱が埋められたという話が残っているそうです。

  • マティルダ・オブ・スコットランド
    イングランド王・ヘンリー1世の王妃で、ロンドン橋建築の責任者。

  • エリナー・オブ・プロヴァンス
    イングランド王・ヘンリー3世の王妃。
    橋の収益に関しての権限を持っていた。

  • リー川
    ロンドン橋がかかるテムズ川に合流する川。
    古い方の歌詞にある「ロンドン橋落ちた、踊って渡れ、レディ・リー」とは、冬になって凍ったリー川を歩いて渡ればロンドン橋を渡らずにすむということだそうです。
    ただ、テムズ川に合流する地点はロンドン橋より下流なので矛盾すると言われています(リー川を渡ってもテムズ川の南北を往来できないため)。

  • 人柱にされた女性
    「ロンドン橋落ちた」の最後は「マイ・フェア・レディ」と歌いながら腕の下にいた相手を捕まえることから、捕まった(選ばれた)女性が人柱となる、という説。

    結局どれかはわからないようです。

      何度も崩壊し
      戦火や大火災で焼け落ち
      急流で幾多の船を沈め
      反逆者の首が並べられ
      人柱が埋められた

    そんな死の影つきまとうロンドン橋と一緒に出てくる「レディ」とは、皮肉を込めた名称なのかもしれません。
    民謡には民衆の表立って言えない不満が隠されているなど、よくあることなので…。




    ロンドン橋落ちた:★★★★☆

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  • by kero-tama | 2011-08-31 02:57
    【歴史伝承】ロンドン橋(前編)
    前回「人柱」に触れたので、ちょっと怖い話でも。


    2人の子供が向きあって両手をつなぎ、高く上げます。
    他の子供たちはその腕の下をグルグルとくぐり続けます。

     ♪ロンドン橋渡ろう、渡ろう、渡ろう…

    歌が終わると同時に両手が下り、そのとき両手の間にいた人は捕まってしまいます。

    「ロンドン橋」は「とおりゃんせ」と同じ遊び方で、ご存じの方も多いでしょう。
    keroの地域では「ロンドン橋渡ろう」で始まり「さあ落ちた!」で腕を下ろします。
    地域によっては「ロンドン橋落ちた」で始まり「さあどうしましょう?」や「マイ・フェア・レディ」で終わる場合もあるようです。

    一見無邪気な子供の遊びですが、この歌の背景には2000年に渡る凄惨な歴史がありました。




    建築と崩壊の歴史

    ロンドン橋はイギリスのテムズ川に架かる橋で、西暦46年にローマ人が最初の木製の橋を架けてから2000年近くに渡って何度も倒壊と建築を繰り返してきました。
    木の橋だった頃は嵐や川の氾濫で倒壊したり、戦争や火災で何度も焼け落ちました。
    頑丈な石の橋が架けられたのは1209年で、その時に作られた19のアーチと水車は川に凄まじい急流を生み出し、渡ろうとした小舟がいくつも沈んだそうです。

    石の橋が完成するとそこには住宅や商店、礼拝堂までがひしめき合うように建築されました。
    しかし橋の上に密集した建物は火災の類焼をたやすく招き、またその重量が橋にとって大きな負担となりました。
    1212年の大火災では橋の両側から同時に出火して3000人が死亡、1633年の大火災では橋の3割が破壊されたそうです。

    1762年に水上交通改善のため橋脚の間を広げる工事が行われ、その際に橋の上の建物は撤去されました。
    その後、交通路として利用されるようになったロンドン橋ですが、交通量の増加や老朽化に伴い何度も改築を重ね、1973年に建築された橋が現在に至っています。

    ちなみに、よく間違えられますが、「タワー・ブリッジ」は「ロンドン橋」ではありません。←間違えていた人。




    悪名高きストーン・ゲートウェイ

    ストーン・ゲートウェイと呼ばれる橋の水門小屋は、タール漬けの罪人の生首を矛先に刺して晒す悪名高い場所でした。
    1305年、 スコットランドの愛国者でイングランド王・エドワード1世によるスコットランド支配に抵抗したウィリアム・ウォレスの生首が初めて門に架けられました。
    彼は謀反人として最も残酷な「首吊り・内臓抉り・四つ裂きの刑(Hanged, drawn and quartered)」に処されています。

    ※閲覧注意!
    残虐かつ猟奇的な内容のため文字を背景色で記述しています。マウスで範囲選択すると内容を読むことができますが、閲覧にはご注意ください。

    首吊り・内臓抉り・四つ裂きの刑

    1. 罪人は木枠(ハードル)に乗せられ処刑場まで曳かれていき、そこで先ず絞首縄(ヌース)を首に掛けられ吊るされるのだが、息絶える前に縄は切り落とされる。
    2. 性器を切り取られ、内臓を引き摺り出され、最後に心臓を抉(えぐ)り出される。心臓は、未だ辛うじて息の有る(意識の有る)罪人に突き付けられ、見せ付けられる。
    3. 性器や内臓は、罪人の目前で火中に投じられ、焼かれる。ここで罪人の首が刎ね落とされ、罪人は完全に絶命する。
    4. 残った胴体は、両腕両脚に四つ裂きにされる。こうして首・両腕・両脚の五つに分けられた体は、国王に対する大逆を抑止する効果を狙い、市街の別々の場所に晒された。


    ウィキペディア:首吊り・内臓抉り・四つ裂きの刑より。

    時に何十人もの罪人の生首がずらりと並んだこの慣習は1790年に廃止されています。




    つづく
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    by kero-tama | 2011-08-30 16:44
    【歴史伝承】てるてる坊主
    前回の記事で「てるてる坊主」に触れたのでついでに。

    誰もが知る晴れ乞いのおまじない「てるてる坊主」。
    地方によっては「てるてる法師」「てれてれ坊主」「日和坊主(ひよりぼうず)」とも呼ばれているそうです。
    日本では江戸時代中期には既にてるてる坊主が飾られていたと伝えられています。
    また、頭を下にして吊るしたり顔を描いて吊るしたりすると雨が降るとか、晴れたらてるてる坊主に顔を描いてお神酒をお供えした後川に流すのが作法、とも言われています。

    てるてる坊主の由来は諸説ありますが、その中に中国の伝説「晴娘」というものがあります。

    昔、中国の都に晴娘(チンニャン)という利口で美しい娘が住んでいました。
    晴娘は切り紙が得意で、その腕前は王侯貴族達も買い求めに来るほどでした。
    ある年、晴娘の住む都が連日の大雨で水害に見舞われました。
    大水から家の屋根の上に逃げ延びた晴娘に天から声が響きます。
    「東海龍王が汝を太子の妃にとご所望だ。従わなければ都を水没させるぞ」
    晴娘が「従いますから雨をとめてください」と応えると、一陣の風と共に彼女の姿は消え、雨がやんだのでした。
    その後人々は雨が降り続くと娘たちに人形の切り紙を作らせて門に掛けるようになったということです。

    一般には「晴れを願う可愛いおまじない」として見かけるてるてる坊主ですが、ネットでは「てるてる坊主=生贄説」をよく見かけます。
    その姿が「子供が首を吊られた姿に見える」ということや、童謡の「てるてる坊主」の3番が、「晴れにできなかったら首を切り落とすぞ」という妙に怖い内容の歌詞になっているのも原因のようで、さらに、アンサイクロペディア※1には次のように記述してあります。

    古代中国において、長雨などによる水害を鎮めるために幼い子供を集団暴行し、涙を流させて軒下に吊るす生贄の儀式を起源とする。
    後に日本にも伝わり、やがて人形で代用するようになった。(概略)

    ※1アンサイクロペディアをウィキペディアと勘違いして記述を本気にする人がたまにいるので念のため表記しますが、アンサイクロペディアは「誤りと嘘八百でいっぱいの百科事典」で、皮肉とユーモアに満ちた嘘情報を世界に広めることを使命として運営されています。

    しかし「てるてる坊主=生贄説」は一概に都市伝説というわけではありません。

    前述の「晴娘」にしても災害を鎮めるための犠牲となっているように、災害大国日本では(真偽は別として)過去に「災害を鎮めるため人柱を埋めた」という言い伝えが多く残っています。
    「人柱」と呼ぶのは、人を建築物の柱にするというわけではなく、神道における神の数のかぞえ方を「一柱、二柱…」と呼ぶことに基づき、神聖な存在として扱われたためということです。
    そのためうら若き乙女や無垢な子供が人柱に選ばれ、生きたまま埋められたという言い伝えも多くあります。
    災害を鎮めるために人柱を埋めていたのが、やがて人間の代わりに人形が生贄の役目を果たすようになった、と考えるのは自然な連想かもしれません。


    軒先に無邪気に吊るされたてるてる坊主が「晴れにしてくれるおまじない」ではなく「雨をやませるための生贄」と思うと、なんだか物悲しい気持ちになりませんか?


    あしたてんきにしておくれ…:★★★☆☆

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    by kero-tama | 2011-08-29 03:30
    【NEWS】JFK暗殺犯オズワルドの棺が競売へ(動画)
    ExciteNews:JFK暗殺犯とされるオズワルドのひつぎ競売へ(ロイター)

    JFK暗殺犯と言われるリー・ハーヴェイ・オズワルドの棺が競売にかけられます。
    1981年10月、オズワルドの妻が「埋葬されたのはオズワルドに似た別人だ」と主張したため棺が掘り返されました。
    その結果、遺体はオズワルド本人のものとされ遺体は新しい棺に収められ再び埋葬。
    競売にかけられるのはそれまでオズワルドが眠っていた古い棺だそうです。

    不可解な謎を残したまま当事者たちが次々に死亡したこの大事件。
    果たしてオズワルドは本当に犯人だったのか…

    ケネディ暗殺事件

    1963年11月22日午後12時32分。
    アメリカ合衆国テキサス州ダラスで遊説中だったジョン・フィッツジェラルド・ケネディ大統領がパレード中のオープンカーの上で何者かに狙撃され死亡した。
    凶弾は大統領の頭部を粉砕、破片を車の後方へと撒き散らした。
    彼の隣に座っていた夫人が動転して彼の「破片」をかき集める姿が放送され、惨劇は衝撃となって世界を駆け巡った。

    YouTube:ケネディ大統領暗殺の瞬間(ザプルーダー・フィルム)


    オズワルド暗殺事件
    事件後80分でリー・ハーヴェイ・オズワルドが大統領暗殺の容疑で逮捕された。
    彼は記者団の前で「はめられた」「身代わりだ」と無実を主張しつづけた。
    しかし暗殺から2日後の1963年11月24日。
    オズワルドはダラス警察の地下で、ジャック・ルビー(本名:ジェイコブ・ルーベンスタイン)によって射殺された。
    これも数百万人のアメリカ国民が注視するテレビ中継のさなかの出来事だった。

    YouTube:オズワルド暗殺の瞬間


    ルビーは「悲しんでいる大統領夫人とその子供ためにやった」と供述。
    しかし彼はマフィアやCIA、反カストロのキューバ亡命グループなどと深い関係があったと言われており、その供述は信憑性に欠けた。
    1967年01月03日。
    肺塞栓症を患ったルビーは、奇しくもオズワルドが運び込まれたのと同じパークランド病院で死亡した。


    今なお多くの謎に包まれた「ケネディ大統領暗殺事件」。
    世界レベルの都市伝説といえる数々の陰謀についてはまた次の機会に…。


    歴史と陰謀が眠る棺:★★★★☆

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    by kero-tama | 2010-12-03 22:41
    【オカルト】コトリバコ-由来
    2ちゃんねるのオカルト板で有名な「コトリバコ」第3弾。
    閲覧についてのご注意は、まず「コトリバコ-発端」を御覧ください。
     
     
    320 :小箱 ◆/7qG64DDfc :2005/06/08(水) 22:10:45 ID:0GDcLRRy0
    M「それと、たぶんみんなあの箱の中身が何かを知りたいだと思う。
    M「ここまで話したら、もう最後まで聞いてほしい。
    M「俺も全部は知らんけど、知ってることを話す。
    M「ここはもう箱終わったけん、問題ないと思うし
    M「正直、残りの箱はあと二つ、たぶん俺が祓わんといけんもんだけん
    M「俺の決意ってのもある
    M「それと、S父さんは本来知っておかんといけん話だけん
    M「それとAは、たぶん今話とかんとしつこいけんなぁw


    M「あの箱はな、子取り箱っていって間引かれた子供の身体を入れた箱でな
    M「作られたのは1860年代後半~80年代前半頃。
    M「この部落(俺らの言葉では部落といいませんが、差別用語です)は
    M「このあたりでも特にひどい差別、迫害を受けた地域なんよ
    M「で、余りにもひどい迫害だったもんで、間引きもけっこう行われていた
    M「△▼(地域名です)の管轄にあったんだが
    M「特に△▼からの直接の迫害がひどかったらしい。
    M「で、働き手が欲しいから子供は作るが、まともな給料がなく
    M「生活が苦しいから子供を間引くと・・・ これは一応わかるよな?


    321 :小箱 ◆/7qG64DDfc :2005/06/08(水) 22:11:08 ID:0GDcLRRy0
    M「で、1860年代後半かな?隠岐の島で反乱があったのはしっちょるか?
    M「その反乱は1年ほどで平定されたらしいんだけど
    M「そのときの反乱を起こした側の一人が、この部落に逃れてきた
    M「島帰りってやつだな・・・
    M「反乱の理由とかは学校で少し習ったろ?隠岐がすごい裕福な土地だったってこととかも
    M「まぁ、それはいいや。
    M「で、その島帰りの人間、名前がな・・・ ◎○って言うんだよ。

    (俺の苗字と同じでした。なんだか訳わかんね・・・)
    ◎○⇒以下AAとしますね。

    M「AAは反乱が平定されて、こっちに連れてこられた時に
    M「隙を見て逃げ出してきたそうだ、話によるとだけどな。
    M「この部落まで逃げてきたと。
    M「部落の人らは、余計な厄介ごとを抱えると、さらに迫害を受けると思って
    M「AAを殺そうとしたんだって。
    M「で、AAが「命を助けてくれたら、お前たちに武器をやる」
    M「というようなことを言ったそうだ。
    M「その武器って言うのがな、小箱だ。小箱の作り方。
    M「部落の人はその武器がどのようなものかを聞き、
    M「相談した結果、条件を飲むことにしたんだ。


    322 :小箱 ◆/7qG64DDfc :2005/06/08(水) 22:11:25 ID:0GDcLRRy0
    M「AAはもう一つ条件を出してきた。
    M「武器(小箱)の作り方を教えるが、最初に作る箱は自分に譲って欲しいということ
    M「飲めるなら教える。どうしてもダメなら殺せと
    M「部落の人はそれを飲んだ。
    M「そしてAAは箱の作り方を教えた・・・
    M「作り方を聞いてからやめてもいい、そして殺してくれてもいいともAAは行ったそうだよ
    M「それだけ禍々しいものだけん、この小箱ってのは、AAも思うところがあったのかもな
    M「ただ、「やり遂げたら自分も命を絶つが、それでもやらなければならないことがある」
    M「そうAAは言ってたそうだ

    *箱の作り方、全部載せるとさすがにやばそうなので?いくつか省きますね。


    323 :小箱 ◆/7qG64DDfc :2005/06/08(水) 22:11:38 ID:0GDcLRRy0
    M「それで、その方法がな、最初に複雑に木の組み合わさった木箱をつくること
    M「これはちょっとやそっとじゃ木箱を開けられないようにするための細工らしい。
    M「これが一番難しい作業らしい。お前らもちょっと見ただろ?あのパズルみたいな箱
    M「アレを作るんだ。
    M「次に、その木箱の中を、雌の畜生の血で満たして、1週間待つ
    M「そして、血が乾ききらないうちに蓋をする。
    M「次に、中身を作るんだが、これが子取り箱の由来だと思う。
    M「想像通りだと思うが。間引いた子供の体の一部を入れるんだ。
    M「生まれた直後の子は、臍の緒と人差し指の先、第一間接くらいまでの
    M「そして、ハラワタから絞った血を
    M「7つまでの子は、人差し指の先と、その子のハラワタから絞った血を
    M「10までの子は、人差し指の先を
    M「そして蓋をする。閉じ込めた子供の数、歳の数で箱の名前が変わる
    M「一人でイッポウ、二人でニホウ、三人でサンポウ、四人でシッポウ
    M「五人でゴホウ、六人でロッポウ、七人でチッポウ
    M「それ以上は絶対にダメだとAAは念を押したそうだ
    M「そして、それぞれの箱に、目印として印をつける。
    M「イッポウは△、ニホウは■といった具合に。
    M「ただ、自分の持っていく箱、ハッカイだけは7つまでの子を、八人をくれと
    M「そして、ハッカイとは別に、女1人と子供を1人くれと。
    M「ハッカイは最初の1個以外は決して作るな とも言ったそうだ。


    324 :小箱 ◆/7qG64DDfc :2005/06/08(水) 22:11:53 ID:0GDcLRRy0
    M「普通、そんな話まで聞いて、実行なんか出来ないよな
    M「そんな胡散臭い人間の話、ましてやそんな最悪の話
    M「いくら生活苦しくても、自分の子供を殺すのでさえ耐え切れない辛さなのに
    M「さらに殺した子供の死体にそんな仕打ち・・・・
    M「でもな、ここの先祖はそれを飲んだんだ、やったんだよ
    M「どういった動機、心境だったのかは全部はわからないけど
    M「それだけものすごい迫害だったんだろうね
    M「子供を犠牲にしても、武器を手にしないといけないほどに、すごい・・・
    M「そして、最初の小箱を作ったんだと
    M「各家、相談に相談を重ねて、どの子を殺すかっていう最悪の相談
    M「そして実行されたんだ。
    M「そして・・・ハッカイが出来上がった。

    M「AAはこの箱がどれほどのもので、どういう効果なのかを説明した
    M「要望にあった子供と女を使ってね。
    M「その子供と女の名前は、□■と$*(伏せますね)
    M「そして、犠牲になった8人の子供の名前は _______(伏せますね)
    M「聞いたことあるろ?
    (俺らは知ってる名前です。でもいえません、ほんとにごめんなさい)


    325 :小箱 ◆/7qG64DDfc :2005/06/08(水) 22:13:00 ID:0GDcLRRy0
    M「で、効果はAに言ってたようなものだ
    M「女と子供を取り殺す。それも苦しみぬく形で
    M「何故か、徐々に内臓が千切れるんだ、触れるどころか周囲にいるだけでね。

    M「そして、その効果を目の当たりにした住民は、続けて箱を作ることにした。
    M「住民が自分たちのために最初に作った箱はチッポウだった
    M「俺が祓った奴だな。7人の子供の・・箱・・・
    M「わずか2週間足らずの間に、15人の子供と、女1人が殺されたんだよ
    M「今の時代じゃないだろ?・・・ ひどいよな・・・・
    M「そして、出来上がった箱を、△▼の庄屋に上納したんだ
    M「普通に住民からの気持ち、誠意の印という名目で
    M「庄屋の家は・・・ ひどい有様だったらしい
    M「女子供、血反吐を吐いて苦しみぬいて死んだそうだ。


    326 :小箱 ◆/7qG64DDfc :2005/06/08(水) 22:13:22 ID:0GDcLRRy0
    M「そしてな、住民は△▼のお偉方達、△▼以外の周囲地域にも伝えたそうだ。
    M「今後一切部落に関わらないこと、放って置いて欲しいこと。
    M「今までの怨みを許すことは出来ないが、ほうっておいてくれれば何もしないということ
    M「守ってくれるのなら、△▼へ仕事に出ている部落の者も、今後△▼に行くこともしないということ
    M「そして、もしこのことに仕返しをすれば、この呪いを再び振りまくということ
    M「庄屋に送った箱は、直ちに部落に返すこと。
    M「なぜ放置するのか、その理由は広めないこと、ただ放置することだけを徹底すること
    M「そして・・・ この箱はこれからも作り続けること
    M「既に箱は7つ存在していること。
    M「7つあるっていうのは、これはハッタリだったんだろうなと思う。そう思いたい・・・
    M「言い方は失礼なんだけど、読み書きすら出来なかった当時の住民に
    M「これだけのことが思いつくはずは無いと思うんだが・・・ AAの知恵だったんだろうか

    M「△▼含め、周りの地域は全てこの条件を了承したらしい。
    M「この事件は、その一時期は周辺に噂としてでも広まったのだろうかな
    M「すぐさま部落への干渉が一切止んだそうだ。


    327 :小箱 ◆/7qG64DDfc :2005/06/08(水) 22:13:47 ID:0GDcLRRy0
    M「で、この部落の大人たちは、それでも作り続けたんだよ
    M「この箱をね。すでにAAはどこかに行ってたらしいんだが
    M「箱の管理の仕方を残していったそうだ。
    M「女子供を絶対に近づけないこと。
    M「必ず箱は暗く湿った場所に安置すること
    M「そして箱の中身は、年を経るごとに次第に弱くなっていくということ
    M「もし必要なくなった、もしくは手に余るようなら、○を祭る神社に処理を頼むこと
    M「寺ではダメ、必ず処分は○を祭る神社であること

    M「そして、住民たちは13年に渡って箱を作り続けたそうだ。
    M「ただ、最初の箱以外は、どうしても間引きを行わなければならない時にだけ
    M「間引いた子の身体を作り置いておいた箱に入れた、ということらしい。
    M「子供たちを殺すとき、大人たちは
    M「△▼を怨め、△▼を憎め、というようなことを言いながら殺したらしい。
    M「殺す罪悪感から少しでも逃れたいから、△▼に反らそうとしてたんだろうな。

    M「箱を作り続けて13年目、16個目の箱が出来上がっていた。
    M「イッポウ6つ、ニホウ2つ、ゴホウ5つ、チッポウ3つ
    M「単純に計算しても、56人の子供・・・
    M「作成に失敗した箱もあったという話だから、もっと多かったんだろうな


    328 :小箱 ◆/7qG64DDfc :2005/06/08(水) 22:14:00 ID:0GDcLRRy0
    M「そして、13年目に事件が起きた
    M「その時、全ての箱は1箇所に保管されてたんだが
    M「監視を立ててね。そして事件が起きた。
    M「11歳になる一人の男の子が監視の目を盗んで箱を持ち出してしまった。
    M「最悪なのが、それがチッポウだったってこと
    M「箱の強さは、イッポウ<ニホウというふうに数が増えれば強くなる。
    M「しかも出来上がって間もないチッポウ
    M「箱の外観は分かるよな・・・ Sが楽しく遊んだっていうように
    M「非常に子供の興味を引くであろう作りだ。
    M「面白そうなおもちゃを手に入れた男の子は家に持ち帰り。
    M「その日のうちに、その子を含め家中の子供と女が死んだ。

    M「住民たちは、初めて箱の恐怖を、この武器が油断すれば自分たちにも
    M「牙をむくということを改めて痛感した。
    M「そして一度牙をむけば、止めるまもなく望まぬ死人がでる。確実に。
    M「そして恐怖に恐怖した住民は箱を処分することを決めたそうだ。


    329 :小箱 ◆/7qG64DDfc :2005/06/08(水) 22:14:15 ID:0GDcLRRy0
    M「それからは大体分かるよな。
    M「代表者5人が俺の家に来たんだわな。
    M「そして、俺の先祖に処理を頼んだ。
    M「しかし箱の力が強すぎると感じた俺の先祖は
    M「箱の薄め方を提案したんだ。それはJさんの言った通りの方法
    M「そして、決して約束の年数を経ない箱を持ち込まないこと。
    M「神社側からは決して部落に接触しないこと。
    M「前の管理者が死んだ後、必ず報告をすること
    M「箱ごとの年数は、恐らく俺の先祖が大方の目安・・・
    M「箱の強さによって110年とか、チッポウなら140年ほど
    M「箱の管理から逃げ出せないよう、そのルールを作ったんだ
    M「で、班毎に分かれたあと、一人の代表者を決め
    M「各班にその代表者が届けた。そしてどの箱をどの班に届けたかを
    M「俺の神社に伝え、俺の祖先が控えた後・・・・ その人は殺される・・
    M「これでどの箱をどの班がどれだけの年数保管するのかは分からない
    M「そして、班内以外の者同士が箱の話をするのをタブーとしたそうだ。
    M「なぜ全体で管理することにしなかったのかは、恐らくだが
    M「これは俺のじいちゃんが言ってたんだが
    M「全体で責任を背負って責任が薄まるよりも
    M「少ない人数で負担を大きくすることで逃げられないようにしたんじゃないかな?

    M「で、約束の年数を保管した後、持ち込まれた箱を処理したと。
    M「じいちゃんの運の悪いところは、約束の年数ってのが
    M「じいちゃんとおれのひいじいさんの代に、もろ重なってたってことだ。
    M「箱ごとの約束の年数っていうのは、法則とかさっぱり不明で
    M「他の箱はじいさんの代で全部処分できたんだが
    M「チッポウだけはやたら長くて、俺の代なんだよなぁ・・・
    M「まだ先だと思って何もやってなかったけど真面目にせにゃ・・・


    330 :小箱 ◆/7qG64DDfc :2005/06/08(水) 22:15:10 ID:0GDcLRRy0
    M「これで全部だ。箱に関すること。俺が知ってること。
    M「そして、俺が祓ったチッポウは、最初に作られたチッポウだってこと。

    それと、Mはさっき電話で
    M「箱の年数はどうやって決めたのかは分からない。
    M「俺の先祖が箱について何かしら知ってたのかも知れないし
    M「AAという人物からそういう話があったらそうしてくれと頼まれていたのかもしれない。
    と言ってました


    以上が昨日の夜の出来事です。
    もうね、三文小説のネタにでもなりそうなお話で
    現実に箱事件を目の当たりにした俺も、何がなにやらで混乱してます。





    呪いの結果より、子供を大量に殺してコトリバコを作った人たちが本当に怖い。
    干渉が止んだ後も貧しかった村落では子供の間引きが行われました。
    当時としては間引きも仕方なかったということはわかります。
    しかし彼らはその子らをただ死なせるだけではなく、怨念の塊、呪いの道具にしました。
    干渉はもう止んでいたのに。

    おそらく、作ったコトリバコで何かをしようと思ったわけではなかったのでしょう。
    貧しさから仕方なく子供を間引く罪悪感から逃れるため、自分たちを迫害した△▼にその矛先を逸らしたかった。


     △▼のせいでお前は死ぬんだ。
     だから俺たちじゃなく△▼を怨め。



    罪悪感から逃れた結果、彼らはその怨念を無関係な子孫にまで背負わせました。
    恐ろしくても逃げられない。
    圧力から開放してくれたコトリバコは、結果自分たちとその子孫を恐怖とともに土地に張りつける呪いになってしまいました。


    人を呪わば:★★★★★

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    by kero-tama | 2010-09-15 21:11
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