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2010年 10月 03日 ( 1 )
【事件事故】 三毛別羆事件6-討伐
1出現 2襲撃 3再襲 4惨劇 5戦慄 6討伐 7最期


討伐

事件現場の北に、名のある鉄砲撃ちがいた。

  名を 山本兵吉 という。

齢58歳。
銃は飛んでいるエゾライチョウを打ち落ほどの腕前、またサバサキという小刀で熊を刺し殺したこともあり「宗谷のサバサキの兄い」と呼ばれているほどだった。
普段は軍帽をかぶり、日露戦争の戦利品である銃をよく自慢していたが、酒代欲しさに銃を質に入れていた彼は事件を聞きつけると「俺がいれば!」とすぐさま銃を確保し、三毛別へ駆けつけた。


12月12日。

事件の報せを受けた北海道庁は討伐隊の組織を指示。
近隣の青年団や消防団、志願者やアイヌの者にも協力を仰いだ。
彼らは銃や刃物、中には日本刀を携えて三毛別に集まり、それは三日間で延べ600人鉄砲60丁にも及んだ。
しかし山野に紛れるヒグマを、討伐隊はなかなか発見できない。
討伐隊本部は討議した。


  ヒグマには「獲物」を取り戻そうとする習性がある。
  これを利用してヒグマをおびき寄せてはどうか。



「獲物」が意味するところに、本部内では意見が割れた。
しかし隊長は、罵倒される覚悟で遺族と村人にそれを提案した。

誰一人、反対しなかった。

それほどまでに事態は切迫していた。
かくして、被害者の遺体を餌にヒグマをおびき寄せるという前代未聞の作戦がただちに実行された。

居間に置かれた死臭放つ遺体。
それには引きずり出された胎児も含まれていた。
補強された天井裏の梁には銃の扱いに慣れた者たちが決死隊として配備された。
部屋の中央には達人・山本兵吉が座し、その左右を1人ずつが固める。
彼らは2日半、この死臭が充満する家の中で食事や用足しを済ませたという。

やがて死臭にひかれ、ヒグマが森から現れた。
固唾を飲んで機会を伺う。
しかしヒグマは警戒して中へ入らず、家の周りを歩きまわると森へと引き返してしまった。
その後もヒグマは何度か訪れたが警戒して踏み込まず、討伐の機会は訪れなかった。


【事件事故】 三毛別羆事件(その7)「最期」 へつづく。

1出現 2襲撃 3再襲 4惨劇 5戦慄 6討伐 7最期

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by kero-tama | 2010-10-03 10:14
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