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【都市伝説】トミノの地獄
「読むと死ぬ」

と言われる詩があります。
黙読するには問題ないが、音読(声に出して読む)すると呪われるというものです。

題名は 「トミノの地獄」

大正生まれの詩人であり作詞家であった西條八十(さいじょう やそ)の作。


姉は血を吐く、妹(いもと)は火吐く、可愛いトミノは宝玉(たま)を吐く。
ひとり地獄に落ちゆくトミノ、地獄くらやみ花も無き。
鞭(むち)で叩くはトミノの姉か、鞭の朱総(しゅぶさ)が気にかかる。
叩けや叩きやれ叩かずとても、無間(むげん)地獄はひとつみち。
暗い地獄へ案内(あない)をたのむ、金の羊に、鶯(うぐいす)に。
皮の嚢(ふくろ)にやいくらほど入れよ、無間地獄の旅支度。
春が来て候(そろ)林に谿(たに)に、暗い地獄谷七曲り。
籠にや鶯、車にや羊、可愛いトミノの眼(まなこ)にや涙。
啼(な)けよ、鶯、林の雨に妹恋しと声かぎり。
啼けば反響(こだま)が地獄にひびき、狐牡丹の花がさく。
地獄七山七谿(ななやまななたに)めぐる、可愛いトミノのひとり旅。
地獄ござらばもて来てたもれ、針の御山(おやま)の留針(とめばり)を。
赤い留針だてにはささぬ、可愛いトミノのめじるしに。


トミノの地獄
西條八十 詩集「砂金」より


「音読したら家族が亡くなった」「黙読しただけで事故に遭った」「黙読であっても何度も読むのは危険」「詩を改変して同人誌を出した人が死んだ」など、さまざまな都市伝説を生んでいる「トミノの地獄」。
何故「音読したら死ぬ」と言われるのかは不明。
解釈もさまざまで「トミノは姉に虐待されて生き地獄に落とされた少女」とか「トミノは戦争に出征した男子」というものもあり、一般的には後者であるとされていますが解釈は読み手に委ねられているあたりが都市伝説の格好の題材となったようです。

後者をふまえて解釈すると、こういうことでしょうか。
「姉は血を吐く」=「お国のために戦争へ征け」と奮い立たせる姉。
「妹は火吐く」=出征する兄を無邪気に激励する妹。
「可愛いトミノは宝玉(たま)を吐く。」=命を差し出す(出征する)。「可愛い」がトミノはまだ少年であるという意味か。
「皮の嚢」=軍用の背嚢(はいのう・バックパック)。
「地獄」=戦場。
「狐牡丹」=キツネノボタン。田んぼの畦や道端に生える牡丹のような葉と小さな黄色い花の植物。有害。
「赤い留め針」=千人針。

千人針とは、第二次世界大戦中に流行した、出征する兵士の武運長久を祈願するお守りで、女性一人ひとりに白い布に赤い糸でひと針縫って結び目を作ってもらうもの。
戦場で武功を立てるというよりは、「トラは千里を行き千里を戻る」とのいわれにあやかって出征した家族が無事帰ってくるよう祈願したものだそうです。
五銭や十銭の硬貨も縫いこまれ、「五銭(ごせん)は死線(しせん)を超える」「十銭(じゅっせん)は苦戦(くせん)を超える」という縁起をかつぎました。
特例として寅年生まれの女性は年齢の数だけ結び目を作れました。
当時は街頭で千人針を求める姿をよく見かけたそうです。
出来上がった千人針は弾除けのお守りとして兵士たちが身に着けました。

詩の最後にこうあります。

  赤い留針だてにはささぬ、可愛いトミノのめじるしに。

戦場へ行く男たちを、女たちは待つしかできません。
千人針はただのお守りではなく、本人と判別できるようにするための「目印」で、たとえ死んでもいつか家族のもとへ帰ってきてほしい、ということなのでしょうか。
そう考えるとこの一文が一番恐ろしく、そして悲しく思えます。

また、作者の西條八十氏は「誰か故郷を想わざる」の作詞も手がけました。
タイトルは「故郷を想わない人はいない」という意味の反語でしたが、そういった難解さからヒットしないと判断されレコードは慰問用に戦地へ送られました。
しかし戦地では望郷の念にかられる兵士たちの間で大ヒットし、慰問に訪れた渡辺はま子がこれを歌うと大将から一兵卒までがみな涙したということです。

話によると、解説に「もうこんな苦しみはトミノで終わらせて下さい」とあるそうです。
もしかしたら「トミノ」は作者の知人の少年だったのでしょうか。
「可愛い」を繰り返すあたり、殺し合いと無縁のおとなしい子のようにも見受けられます。
この時代は表立って戦争を批判する作品は作れなかったため、この詩のような言い回しになったのかもしれません。

飽くまで解釈のひとつですが。


真意とは別に語り継がれる:★★★★☆

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by kero-tama | 2010-12-02 07:40
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